終末期医療(ターミナルケア)とは、回復できる可能性がなく、死を間近に迎えた末期の患者さんの看護をいいます。
とくに国民病ともいわれるガンの患者さんが大半を占めているのが現状です。
終末期医療については、以前は患者さんの延命のみを目標にしていましたが、今では病気の治療よりも、精神的苦痛や肉体的苦痛をいかにとってあげるかを重視しています。
さらには患者さん自身が、わずかでも目標を持って過ごすことができ、残された人生を少しでも満足して送れることを目指しています。
終末期医療を在宅でうけるか、ホスピスでうけるかは、本人及び家族の希望にそって決定します。
確かに痛みに対する緩和技術が進歩したおかげで、終末期の苦痛からは、かなり解放されるようになりました。
在宅医療と尊厳死
しかし在宅医療を選んだ場合、急激な病状の変化に家族だけでは対応できるかどうか心配です。
そのためには、あらかじめ医師から緊急の対応の仕方を指導してもらい、医師への連絡もスムースにつくようにしておかねばなりません。
また死に臨んでは、安楽死や尊厳死について患者さん自身の意思が示されておれば、その意向に沿って治療するようになってきました。
とくに苦痛が激しい場合には、家族からもはやく楽にしてあげてほしいという訴えがおこります。
しかし現在我が国では、薬物などで死を早める積極的安楽死は容認されていないため、新たに積極的な治療は行わず、苦痛をとるだけの緩和治療に専念しています。
現実には、患者さんの意思が確認されないまま意識が不明瞭になる場合が多く、延命治療を続けざるを得ないことが少なくありません。
この場合は、治療方針について家族の意思が重んじられることになります。