B型慢性肝炎の治療法は、抗ウイルス療法(インターフェロン、核酸アナログ)が中心です。
インターフェロン療法はHBe 抗原陽性で、GPT 値が上昇(100以上)した活動性慢性肝炎が適応になりますが、ウイルスの増殖を抑える力はさほど強くありません。したがって、血中ウイルス量が 多すぎると(107copies/ml以上)、あまり効果が期待できません。
このように、インターフェロンではB型肝炎ウイルスを完全に駆除できないため、ウイルスの勢いを押さえることを主眼とします。
一方、もうひとつの抗ウイルス療法である核酸アナログ製剤は、B型肝炎ウイルスの遺伝子を作っている核酸(DNA)の合成を阻害して、B型肝炎ウイルスが増えるのを抑制します。
インターフェロンの投与期間は6か月以内ですが、これに対し経口剤の核酸アナログ製剤は長期間飲み続ける必要があります。
代表的な核酸アナログ製剤であるラミブジン(商品名ゼフィクス)は、ウイルス の増殖を抑える力が強く、肝炎を鎮める働きをするため、1年続ければ80%以上に肝機能の改善がみられるといわれ頻用されました。
ところが、高率に耐性株(1年で約20~30%)ができたため、しばしばアデフォビル(商品名ヘプセラ)との併用療法が必要となりました。
しかしそれでもなお不十分なため、現在では、耐性ウイルスの発現率が低い抗ウイルス剤としてエンテカビル(商品名バラクルード)テノホビル (商品名テノゼット)が推奨されています。
B型肝炎ウイルスのDNA合成を阻害し、ウイルス量を減らす抗ウイルス作用が強く(ラミブジンの1000倍)、耐性が出にくく安全性も高いといわれています。
ただ、投与を中止すると肝炎が再び悪化しやすいため、長期の投与が必要となります。中止するには、2年以上飲み続けていること、血液中のB型肝炎ウイルスのDNAが検出感度以下になること、HBe抗原が陰性であることが必要で、その後、インターフェロンに切り替えていきます。