メタボリックシンドローム
平成16年、厚生労働省の調査によると、40~74歳の男性2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)かその予備群だそうです。
そのメタボリックシンドロームに重要な関わりをもつタンパク質が大阪大学分子制御内科学教室の松澤教授のグループによって発見され、“アディポネクチン”と命名されました。
今まではからだの脂肪部分というと、脂肪を溜めるだけの単純な組織と考えられていましたが、どうもそうではなく、ここからは様々な生理活性物質(サイトカイン)が産み出されているようなのです。
この善玉物質アディポネクチンは脂肪細胞から分泌され、筋肉や肝臓で脂肪を燃やす働きがあります。
また血液中を流れながら血管の痛んだところを修復し、血管を拡張させるため血圧が安定し、血栓や動脈硬化がおこるのを予防します。
同時にインスリンに対する感受性を高め、血糖の上昇を抑える働きをします。
アディポネクチンが減るとどうなるか
アディポネクチンは内臓脂肪が増加して肥満になると分泌されなくなり、内臓脂肪が減れば、逆に増加します。
皮下脂肪の増減による影響はあまりみられません。このほか活性酸素による酸化ストレスによってもアディポネクチンは減少します。
こうして血中のアディポネクチンが減少すると、心筋梗塞や糖尿病を引き起こしやすくなりますが、一定量に保つことができれば動脈硬化の進行を遅らせることができるといわれています。
アディポネクチンを増やすには、過食に気をつけ、ウォーキングなどの楽な運動を30~60分程度、毎日続けることが重要です。
また、大豆にはアディポネクチンを増やす作用がみつかっています。
逆に喫煙はアディポネクチンの合成を弱めることも分かっています。
こうしてウエストのサイズが85センチ以下になれば、アディポネクチンの分泌量が増えたと考えてよいでしょう。