新型コロナウイルス(新型コロナと省略)は2020年11月以降、東京、大阪だけでなく、北海道でも感染拡大し、“第3波”と言わざるを得ない状況になっています。
すでに感染者数は第2波のピークを上回り、第2波にくらべ中高年感染者の割合が増え、夜の街関連以外に様々な場所でのクラスターの発生が特徴的です。
1日の感染者数も2000人を超える日が連日続いており、全国の重症者数は現在388人で第2波のピークを超えています。最も感染者の多い東京では、現在重症者数は187人で重症者用ベッドの占有率は37%と他県よりかなり高く、医療現場は危機感を募らせています。
冬場の新型コロナ感染
このところ、だいぶ気温が下がって、暖房が欠かせない日常となってきました。
新型コロナにとっては、陽射しの弱い(紫外線が少ない)冬場ほど居心地がよく、閉め切って湿気のない温まった部屋は乾燥してウイルスが拡散しやすいため、最も危険な状況といえます。
したがって、定期的に窓を開けてすこしでも空気が流れる流通路をつくり、こまめな換気と加湿を繰り返す必要があります。
いわゆる3密が重要であることは、今や誰もが了解しているものの、話し好きな人たちにとって、密集、密接を避け自宅に籠るのは、もううんざりという厭世気分が横溢しているようです。
家庭、学校、職場へ広がる
今や、クラスター(感染者集団)の発生場所は夜の街関連が減り、家庭、職場や学校、外国人コミュニティーなどが目立ってきました。
「Go To キャンペーン」で人の往来が頻繁になった結果、都会の感染者が地方へウイルスを持ち込んだり、地方のひとが上京して感染してしまうケースが頻発しています。
全国で1日、2000人の新たな感染者が出る現況に、クラスターは追えても濃厚接触者までは追いきれないという声をしばしば耳にします。
コロナ感染者を受け容れる施設の苦悩
新型コロナの感染を防ぐには、コロナ感染者を一般の患者さんと完全に隔離する必要があります。
つまり病院では、1人のコロナ感染者のために多くの空きベットが使用できない事態がおこっているのです。これは経営上、きわめて不利な状況といえます。
またそれ以上に、担当する医療スタッフへの過剰な負担という大きな問題があります。
自らコロナに感染するかもしれない恐怖のなかで、目が離せない重症患者への心理的、肉体的負担は並大抵ではありません。
彼らはスーパーマンではありません。心身ともに疲労困憊し、離職するものも少なくないと聞きます。春先のピーク時のように帰宅すらかなわず、病院に泊まり込む事態は何とか避けねばならないでしょう。
しばしば、重症者用ベッドにはまだ余裕があるという報道を聞きますが、じつは大きな落とし穴があります。たとえベッドはあっても、コロナ病棟に勤務する医師・看護師がいないという事態に陥っているのです。
可及的に早く、医療スタッフへの待遇改善と新たなスタッフの確保が急がれています。
さらに困ったことに、最近では軽症・中等症のコロナ感染者に対しても、受け容れを拒否する病院が増加しています。
つまり、重症でなくても、コロナの院内感染を恐れて拒絶反応を示す病院や、医療スタッフの協力が得られず、受け容れできないという病院が増えていると聞きます。
医療スタッフの多くからは、これだけ社会貢献しているにもかかわらず、本人ばかりか家族まで、社会から差別をうけることへの憤慨が寄せられているのです。
彼ら(彼女ら)には感謝こそすれ、感染源であるかのような態度は決してとるべきではないでしょう。
余波は市中のクリニックにも
また、もともとコロナの診療をしていない市中のクリニックにも、その余波が訪れています。
昨今のようにコロナの市中感染が広がれば、当然コロナ感染者もクリニックを受診するようになるでしょう。一般の風邪症状と変わらないからです。
すると、外来患者同士が疑心暗鬼になり、次第に受診を控えるようになります。
クリニック側も院内感染を防ぐため、受診患者の聞き取りに相当の時間をとられ(診察時間より長くなることも)、診療の妨げになること、半端でありません。
加えて、感染予防グッズ(加湿装置、パーテーション、マスク、手袋、予防衣、フェイスシールド)の装備に多大な経費を費やし、決して安穏としてはおれないのです。
コロナ感染にブレーキをかけよう
新型コロナは必ず人と共に移動します。したがって人が移動すれば感染は広がるのが当然です。とくに密封された部屋に大勢が集まり、くっついて話しをすれば(3密)、飛沫が飛んで感染するのはよく知られた事実です。
「Go To イート」は、以上のコロナに感染しやすい条件をすべて満たしているように思えてなりません。
数人で出かけたのはいいが、よほど窮屈な飲食(マスクしたまま飲食など)をしなければ感染は免れないだろうと危惧されるのです。
それなら、一人しみじみ飲む酒ならどうかといわれれば、たしかにそれはありかなとは思います。
飲食業界の危機的状況は報道されているごとく極めて深刻です。
しかし、第3波の最中に「Go To キャンペーン」などという腸ねん転をおこしそうな施策は、決して最善手とはいえないでしょう。解決策を論じるほどの了見は持ち合わせていませんが、多くの識者が言っているように、政府から補助金を拠出してもらうほか妙手はないように思います。
家庭内感染におもう
ここにきて家庭内感染が急増しています。若者が外で感染してウイルスを自宅へ持ち込み、家族とくに高齢者に感染させるケースが目立っています。本人は無症状でも感染した高齢者は重症化する危険が大きいのです。
はたして、家庭内で2週間、家族から離れて生活できるかといわれれば、よほどの覚悟がなければ難しいでしょう。接触感染を防ぐため、トイレや家具など、こまめな消毒が必須となります。
とくに若者の場合は、無症状でも2週間は自宅外へ隔離するのがベターではないでしょうか。
言い古されたことですが、飛沫感染と接触感染を避けるため、外出を控え、とくに密閉された場所へは連れだって行かないこと、人に会う場合はソーシャルディスタンスを守り、マスクをして、こまめに手指消毒することが、コロナ感染を防禦する秘訣に変わりありません。
ワクチンはすぐ打てるか?
インフルエンザワクチンの有効性は50%前後といわれています。これに対し、米国のファイザーやモディルナのコロナワクチンは90%と驚異的な好成績を示しています。
しかし一方で、強力なワクチンほど副作用も大きいことを忘れてはなりません。第3相まで十分な検証期間を経ず、急いで投与することには、不安を抱かずにおれません。
新型コロナは世界中に蔓延しているにもかかわらず、国によって対策が異なるのは奇妙な感じがします。
WHO(世界保健機関)など国際機関が各国に連携を呼びかけ、一致団結してコロナを収束させようという動きが出てきてほしいものです。台湾やニュージーランドのようなコロナ制圧に成功した国々のノウハウがもっと生かされるべきではと思うのです。
また、ワクチンは一刻を争う世界的問題にもかかわらず、開発ばかりか副作用や有効性(持続時間、保存法)に関する検証まで、タッグを組んでやろうとしないのは、もったいない気がします。そこには、自国のみで利益を独占しようとする意図も見え隠れします。
WHOではワクチンの公平な普及のために、172カ国の賛同を得てCOVAXファシリティを立ち上げ、微力ながら低所得国にもワクチンが行きわたるような活動をしています。
しかし現実には、開発した欧米諸国をはじめ資金力のある国(我が国を含む)だけが最初にワクチンの恩恵をうけ、持たざる国はずっと後回しにされそうです。
このような自国第一主義が横行する限り、早期の終息は望めないように感じます。
低所得国にも同じ恩恵が行き渡らなければ、コロナは決して収束には結びつかないからです。